もしあなたが今、激しい感情に見舞われて苦しい思いをしているなら、それは潜在意識にある何らかのトラウマに起因していると考えられますので、ぜひそれを癒やすことを実践してみてくださいね。
今回は、そのような感情の中でも特に、誰かから理不尽な扱いを受けたり、信じていた人から裏切られたりして、激しい怒りや憎しみを感じている、また、誰も信じられないという猜疑心や疑心暗鬼に苦しんでいるという方へ向けて、癒やしのプロセスをご説明します。
怒りをしずめるために必要なプロセス
①自分の感情にしっかりと寄り添ってあげる
怒りを感じたときに、「これくらいのことは流さなくちゃ」「人を悪く思ってはいけない」などと、「大人」になろうとする必要はありません。
どのような理由があるにせよ、あなたのことを傷つける相手を受け入れる必要など、ないのですよ。
自分の気持ちを抑圧して我慢することは、決してしないでくださいね。
相手のことを理解しようとしてはいけないのではなく、自分を抑えてまで「そうしなければならない」と思わなくても、あなた自身の癒やしが進めば、自然と感情は落ち着いていきます。
ですから、まずは、自分自身に目を向けてあげることから始めましょう。
また、「相手のどこがどのように間違っているため、どのように改善すべきである」と、分析的・批判的になることも、一旦脇に置いてください。
それは、「相手が変わってくれさえすれば解決する」という期待であり、自分の外側に問題の原因があるという考えに基づいているからです。
起きていることはあなたの内面を反映しているので、現実をコントロールしようとしても、何も変わりません。
重要なことは、怒りの対象となっている人や出来事そのものにフォーカスするのではなく、自分自身の感情に焦点を当てて、しっかりと寄り添ってあげることです。
自分は何に対してどのように感じたのか、本当はどのように接して欲しかったのか、自分の話をきちんと聞いてあげてください。
そして、「そうだね」と共感してあげてください。
また、「一生懸命やって偉かったね」「頑張ってくれてありがとう」と、ねぎらってあげてください。
特に、慢性的にイライラしている人、怒りの沸点が低い人というのは、まるで圧力鍋のように、自分の中に怒りをぎゅうぎゅうに溜め込んでいます。
感情に蓋をして見てあげていないので、ずっと発散できないままになってしまっているのです。
怒りというのは悲しみの二次感情であり、つまり、相手に対する「本当は愛されたい」「大事にされたい」という、強い欲求です。
そして、欲求というのは、自分自身からの愛が欠乏すればするほどに、肥大化します。
つまりあなたは、自分自身に愛されない、大事にされないことに、強い怒りと悲しみを感じているのです。
ですから、まずは自分自身に目を向けて、しっかりと感情を受け入れてあげるところから、自分を癒やす取り組みを始めることができるのです。
他人への憎しみに依存しないこと
あなたは、これこそが自分の問題の起点であるとして、親子や夫婦、恋人関係など、特定の誰かへの憎しみに固執してはいませんか。
それはつまり、他人からの愛を渇望している状態を、延々と続けているということに他なりません。
人間関係の挫折を、自分の人生が上手くいかない理由にしないでください。
「その関係のせいで自分は苦しまなければならない」というのは被害者意識であり、自分には力がないと定義してしまうことになります。
他人との関係というのは、自分の内側にある観念が外側に反映されているだけなので、観念そのものを変えなければ、相手が誰であっても、同じような関係を繰り返すことになります。
あなたが「人間関係は自分を苦しめるものである」と自分自身で決めていたら、人はそれに合意し、あなたを苦しめることしかできないのです。
ですから、特定の相手との関係にこだわることには、意味がありません。
もちろん、それだけお互いの人生に影響し合っているということは、縁の深い相手ではあるのですが、相手にベクトルを向け続けていても、根本的には何も変わらないということです。
あなたを苦しめる関係を改善するためには、あなたが自分自身の否定的な観念を外し、自分を尊重するということに、自分で許可を出すことです。
それによって、相手との関係性が改善する場合もありますし、逆に距離が離れて、煩わされることがなくなるという場合もあります。
いずれにしても、あなたが自分を愛し、大事にすることによって、その自分自身との関係性が、人間関係にも反映されるのです。
向き合う必要があるのは自分自身であり、観念を変えることによって、人間関係や人生は、愛情あふれるものに変えることができます。
「私のことは私が絶対に守る」「幸せにする」「苦しい関係はもう繰り返さない」と、心に決めてください。
現実があなたに対して一方的に襲いかかっているのではなく、あなた自身に現実を創る力があるのだということを、決して忘れないでください。
②潜在意識を癒やして、否定的な観念を変える
あなたが怒っている、つまり悲しんでいるのは、否定的な扱いを受けたからです。
そして、それは結局のところ、あなた自身の中に自己否定の観念があるために、それが他人を通してあなたを攻撃してきている、ということです。
ですから、あなたにどのような否定的な観念があるのかを知り、それを変えるために、潜在意識に入る必要があります。
否定的な観念は、あなたのトラウマや心の傷となっている「経験」と、それに伴うネガティブな「感情」によって作り出されます。
自分の心の傷というのは、自分にしか癒やすことはできません。
人に癒やしてもらうことはできません。
なぜなら、自分の心を傷つけられるのもまた、自分だけだからです。
つまり、自分の主観というのは、自分だけのものである、ということです。
あなたの観念を変えられるのは、あなただけです。
あなたを救えるのは、あなただけなのです。
繊細なあなた自身が、潜在意識の中で、ずっとあなたを待っています。
どうか、迎えに行ってあげてくださいね。
▼ 潜在意識を癒やすための詳しい方法は、こちらをご参照ください。 「自分と向き合うための3つの取り組み」は、お読みいただけましたでしょうか。 今回は、そのうちの2つ目である「潜在意識に入り、自己理解と受容を行う」の項目にてご説明している、潜在意識を癒やしていく方法に ... 続きを見る
潜在意識を癒やして観念を変える方法
2つに大別される怒りの原因と、その解消方法
実際に潜在意識に入ってみると、怒りの根本原因は、自己否定であることが実感できると思います。
そして、それは2つに大別することができます。
人に対する怒りの本質の一つ目は、自分を蔑ろにする自分自身への怒りです。
つまり、他人からの否定的な扱いというのは、自らの自分自身に対する扱いの反映なので、自分をそのように扱う自分に対する悲しみや不満の発露として、怒りが湧いているのです。
これは、人を優先することをやめて、自分を尊重すると決めることによって、解消されていきます。
二つ目は、過去の自分自身に対する怒りです。
過去の自分の行動に対して、深い後悔や強い罪悪感があるために、どうしても許せない自分自身が、他者の姿に投影されるのです。
これは、受け入れがたい自分を受け入れることによって、解消されていきます。
▼ 罪悪感の解消方法については、以下の内容をぜひ参考にしてみてください。 あなたの自己否定や自己抑圧は、過去の何らかの経験によって作られた、「自分は罰せられるべき人間だ」「自分は人を不幸にしてしまう」「こんな自分には価値がない」といった、思い込みが原因です。 そのような、あ ... 続きを見る
「罪悪感」や「無力感」の手放し方
③背を向け合っていた自分自身と和解する
あなたの中の罪悪感は、あなたに対して「我慢しなければならない」と、自己抑圧を強いてきます。
それによって、否定的な扱いにずっと耐えてきたために、あなたの中には、解消されないままの怒りが蓄積していることと思います。
それを解放していくプロセスにおいて、あなたは、自分を散々苦しめてきたのは他でもない自分自身だったのだということに気がつき、「なんて酷いことをしてしまったんだろう」と、自分を責めてしまうかもしれません。
そして、自分は自分に対して相当怒っているはずだと、恐怖を感じるかもしれません。
抱きしめたいのに、そうすることが怖い。
愛したいのに、愛し方がわからない。
あなたは自分自身に対してそのようなもどかしさを覚え、それが外側の人間関係にも反映されているかもしれません。
しかし、ここで忘れてはいけないのは、そもそもすべてのことは、自分自身と合意した上で起こしたことだということです。
どのような経験だったとしても、結局は、自分が経験したくてしていることです。
なぜなら、潜在意識で望んだことしか、あなたは経験することができないからです。
要するに、あなたは、否定的な経験を通して怒りを覚えることで、「もう、自分を否定したくない」という、自分自身の本当の心を学びたかったのです。
だから、自分に対して罪悪感を持つ必要はありません。
「一緒に学びたいことを学んでくれてありがとう」と、感謝をすれば良いのです。
そして、これからはどのような生き方をしたいと思っているのかを、しっかりと伝えてあげてください。
「これからは絶対に自分を守り抜く」という覚悟を表明し、それを実行していく姿を見せるのです。
その決意が心からのものであれば、あなたの誠意は自分自身にきちんと伝わり、強い信頼関係を結ぶことができます。
その結果として、他人に対する怒りや悲しみも解消されていくのです。
人への猜疑心は、人を優先し続けてきた自分自身への猜疑心
あなたは、人を信用しておらず、「どうせ誰も理解してくれない」「結局人は裏切るもの」だと思っているかもしれません。
もうおわかりでしょうか、そのような孤独や不信感は、結局のところ、自分自身への抑圧や無理解によるものです。
あなたのこれまでの人生の中で、本当の自分を出そうとしたタイミングも、実は何度かあったのではないでしょうか。
でも、結局は恐怖心に負けてしまって、人や社会の目を優先し、自分を押し込めて迎合しまった、本当の自分を選んであげることができなかったのかも知れません。
あなた自身は、あなたからのその仕打ちにひどくがっかりして、人生というのは、「期待した途端に梯子を外される」「手のひらを返される」「信じたら裏切られる」「突然頭の上から冷水を浴びせられる」ことの繰り返しだと思っています。
他人に対する猜疑心というのは、そのように「今度こそ自分のことを見てくれるかもしれないと期待したのに、結局は目を背けられてしまった」という失望の積み重ねによる、自分自身への根深い猜疑心の反映なのです。
ですから、「これからは、誰よりも自分自身を優先する」「絶対にあなたを守り抜く」と自分自身に約束し、それを実行していくことによって、自分への信頼が生まれ、結果的に、他人への猜疑心や厭世観も解消されていくのです。
人は決して裏切りません。
人は、あなたの潜在意識が望む通りに振る舞います。
あなたが「自分の心に従っていい」「自分の力を解放していい」と、自分自身に許可することができれば、もう、あなたを否定したりコントロールしようとする人が現れ、あなたを怒りや不信感で苦しめることはなくなるでしょう。
他人へ向かってどれだけ対抗しようとしても、あなたの中の自分を押し込めようとする観念がなくならない限り、あなたを否定する他人は何度でも現れて、あなたの前に立ちはだかります。
その繰り返しを終わらせたければ、向かうべきは目の前の相手ではなく、あなた自身があなたを封じた壁、あなたの観念そのものなのです。
④過去に受けていた愛を改めて受け取る
罪悪感にさいなまれていると、「自分にはそんなものを受け取る資格はない」として愛を拒絶するために、愛というものを感じることができなくなります。
それが、自己受容・自己優先の実践によって、自分からの愛を感じられるようになると、あなたは、人からの愛も感じることができるようになります。
人は自分自身の反映であるので、あなたは、自分を愛していることを思い出すことで、人のことも本当は愛していて、また愛されているのだということも、思い出すことができるのです。
このことも、人への怒りや猜疑心を解消していくための、一つのアプローチになります。
今後出会う人だけでなく、過去を思い返すことによって、これまで出会ってきた人々から受けていた愛を、受け取り直すということができます。
そして、例えそれが痛みや苦しみを伴う関係であったとしても、あなたが得たい経験のための合意であるから、それは愛情の変形であり、つまり、本質的には愛の経験なのだということも、理解できるようになっていきます。
どのような観念に基づいて誰と合意し、どのような経験をしたのであっても、それは、あなたが学びたいことを学ぶための、ご縁ある愛しい人たちとの、共同の取り組みだったのです。
そのことに気づいたとき、あなたは、「もうずっと、本当は幸せだったのだ」ということを、実感することができるでしょう。
信頼関係は徐々に築かれる
自分と向き合う取り組みを始めることで、すぐに何の躊躇もなく愛を受け取れるようになるかというと、そうではありません。
否定的な思い込みを一つ一つ外していく中で、徐々に受け取れるようになっていくのです。
ですからあなたは、幸福と悲しみ、喜びと怒り、信頼と疑念の間で、行ったり来たりもすることでしょう。
あなたはそうしているつもりがなくても、まだ残っている観念に基づいて、無意識に自分を否定したり、他人を優先してしまうこともあるからです。
でも、それでいいのです。
そうやって一歩ずつ、徐々に変わっていくのです。
すぐに何もかもを変えられないことに焦ったり、自分を責めたりしなくて良いのですよ。
逡巡するのは、あなた自身が望んだ、必要なプロセスです。
あなたはその中で、自分の学びたいことを、自分自身の「心」を、目一杯学んでいくことができるからです。
お読みいただき、ありがとうございました。
あなたの人生を、いつも信じています。